普通はこうなる(挨拶
ハーメルンで連載中のブルーアーカイブの二次創作で、あまりの過剰な業務と責任に先生が辞職を決意した時、シャーレの業務を見直し組織を立て直すために来た経営コンサルタントが主人公。
静寂だった。いつもなら生徒たちの相談や依頼で賑わうシャーレ本部。書類を抱えて走る足音や、生徒たちの笑い声が絶えないその場所は、今だけは異様なほど静まり返っていた。
その沈黙の中心で、七神リンは一枚の紙を見つめていた。
白い紙。黒い文字。そして、一番上に書かれた二文字。
『辞表。』
理解できない。いや、理解したくなかった。リンはゆっくりと顔を上げる。
机の向こうには、一人の先生が立っていた。いつもと変わらない制服。いつもと変わらない穏やかな笑顔。
それなのに、その表情だけはどこか遠く、まるで長い戦いを終えた人間のような疲れを滲ませていた。
「……先生。」
リンの声は自然と震えていた。
「これは、何ですか。」
先生は少しだけ目を伏せる。そして静かに答えた。
「辞表です。」
あまりにも落ち着いた返事だった。まるで、今日の天気を話すような穏やかさ。だからこそ現実味がなかった。
「どうしてですか。」
リンは一歩前へ出る。
「何か問題があったなら、生徒会で対応します。予算でも、人員でも、できる限り手を尽くします!」先生は優しく微笑んだ。
「ありがとうございます。」
その一言だけで、リンの胸は締め付けられる。感謝ではない。諦めの笑顔だった。
「ですが、もう決めました。」
先生の辞表を受け取った連邦生徒会は不安に包まれた。
だからこそリンは最終手段に頼ることにした。
シャーレ最深部に安置された「生命の書」、そしてその隣に眠る少女。
「……ミコリ。」
その名を呼んだ瞬間。少女の瞳が静かに開かれた。
「……救援申請を確認しました。」
「通常対応では解決不能。」
「モームリへの案件移管を推奨します。」
こうして生命の書によって呼び出されたのは白石修司という名の一人の経営コンサルタント。
先生専門の支援組織から来た彼がシャーレの業務を改善する…!
ブルーアーカイブの二次創作と言えば原作のストーリーラインに沿ったものや、日常生活の一部分を切り取ってラブコメディ風に仕上げているものが多い中、先生…ひいては先生を取り巻くキヴォトス全体の「業務」に焦点を当てた異色の作品。
実際にキヴォトスには「先生」と呼べる存在は先生しかおらず、生徒全体の責任を負おうとするならその業務が殺人的なものになるのは想像に難しくない。
特にブルアカ二次創作で描かれる先生像は「生徒の為なら苦労・困難を惜しまない」というものが多いから余計に自分で抱え込んでしまいがち。
そうなれば先生一人が倒れるだけで芋づる式に他の組織まで共倒れになってしまう。
そんなシャーレの業務を改善するためにやってきたのが経営コンサルタントのオリ主。
設定が明確にされているわけではないが、様々な世界線のキヴォトスで救援によって呼び出されては「先生」の業務を改善する仕事をしているらしい。
非常に淡々とした性格をしており、丁寧に丁寧に先生の現状を紐解き、それに対する改善案をだしていく。
なんというか、読んでて「ブルアカっぽくないけどブルアカなんだよなぁ」という感想になる。
ストーリーラインをなぞるだけの作品や、ラブコメディに飽きてる人におすすめ。