望まれて転生または転移したとしても、その望みが善良なものとは限らない。
非安価系やる夫スレ作品で、「やる夫が異世界で前を向いて生きるようです」とその周回作品で知られるあさねこ氏の短編集の中の一作。と言ってもこの記事の執筆時点で120話を超えているが。…短…編…?
タイトル通り異世界に飛ばされた後、地球に戻ってきたやる夫の日常を描く話。
ちなみに飛ばされたのは「昨日の夜」で帰ってきたのは「昨日の深夜」ということなので地球で行方不明扱いだったということはない。
異世界から戻ってきた翌日、何事もなく授業中にトイレに行きたくなり、戻ってくると…クラスメイトと担任が消えてしまっていた。
まさかの異世界召喚からハブられてしまったやる夫。彼はすぐにクラスメイトを追って異世界に…行かなかった!
異世界転移だとハーレムだ!なんて思うかもしれないがやる夫が異世界で経験してきたことはその真逆。
「何故か」出会う人々に嫌われ、騙され、殺されかける。それでもたった一人で生き抜いて魔王や竜王、あげくに「神」を殴り倒して地球に帰ってきたのがこのやる夫。
異世界なんて誰が行くか!俺は逃げるぞ!と全力で見て見ぬふりをして、地球での生活を謳歌しようとするやる夫だった…
そして地球に帰ってきたやる夫はあることに気が付く。
地球にも魔術や神、悪魔など裏側の要素があるという事に。
地球の神を遥かに上回る力を持った異世界の神、それすら殺してのけるほどに力をつけたやる夫は、望む望まないに関わらず裏側の出来事に巻き込まれていく…というか根が善良なので弱者を守るために首を突っ込んでしまう。
物語のキーとなるのは異世界の「神」。この神は「力を持ったクソガキ」と作中で評されるほどに自制心が存在していない。最も、他にも神はいるようだが…?
やる夫はこの神の一人に弄ばれただけだった。そのせいで心に拭えない傷を負ったやる夫が取り戻した日常、その風景を見て感動するやる夫にほっこりする作品でもある。
やる夫、地球での神や悪魔、裏側に入ってしまった少女(キョン子)、異世界から戻ってきたクラスメイト達、そしてなおも地球に手出ししようとする異世界の神々。彼らがどんな終着点を見せるのか興味が尽きない。