名誉クソクリエイター茅場(挨拶
ハーメルンで連載中のソードアート・オンラインの二次創作小説で、ソードアート・オンラインのβテスターやってるオリ主がアホほど茅場に文句言う話。
「え、嫌なんだけど」
と、俺は言った。
「まあまあ、そう言うな」
父さんはノートPCの画面をこちらに向けたまま、悪びれもせずそう言った。画面の向こうには、見覚えのない大人たちの顔がずらりと並んでいる。おそらく開発部門の役員か、その周辺の人間だろう。
あ、茅場さん。茅場さんいるなら、ちょっと気が楽か。変な人だが、悪い人ではないからな。もうちょいガキンチョだった頃に、俺のヒーローの話とか聞いてくれた覚えがある。変な人だが。
「息子さんが、βテストのプレイヤーとして率直な意見をお持ちだと伺いまして」
「ああ、はい。どうも。楽しませてもらってます。はい。そうですね、間違いなく時代を変えるような最高のゲームと言えるでしょう。βテストの時点でもう他のVRゲームを圧倒的に凌駕しています」
βテスト、ってのがなんのβテストかと言えば、ソードアート・オンラインっていうMMORPGのβテストだ。
二ヶ月行われることになっているβテストが始まって一週間。社長権限でついにオンライン会議にまで引っ張り出されていた。
「ありがとう、彰くん」
「どういたしまして、茅場さん。じゃあ今褒めたんで、後は好きに言いますね」
「私の世界に何か不満があったのかな?」
「ええまあ。なにから言いましょうか。そうですね、とりあえずメインっぽいところから。あの、なんで武器が近接武器しかないんですか? モンスターと一人称視点で戦うのって怖いし、もうこれだけでだいぶ人を選ぶ気がしますが。そんなつもりはなくても、だいぶホラーゲームですよこれ。ファンタジーなので、たぶんこの先、ゾンビとかレイスとか、あと虫も出るんじゃないですかね。一人称視点でやるんです? この解像度で?」
「フルダイブの特性を最大限に活かすための仕様だ。プレイヤー達には直接ゲームの中で自由に身体を動かすような体験をしてもらいたい」
「インタビューとかでも言ってたやつですよね。魔法がない理由」
「その通りだ」
「弓くらいはあるべきでは? 投剣スキルはありましたけど、低火力かつ投げナイフは使い捨て。無いも同然でしたよ」
「ふむ」
軽く流したつもりだったが、茅場さんは意外と真剣な顔でメモらしき動きをしていた。
「まあ今から武器種一個追加は大変でしょうし、今後のアプデですかね。で、次に操作性ですね。操作性が悪いです」
「そんなことはないはずだ。ソードアート・オンラインの世界では思い通りに身体を動かせるはず。脳波が合わない者は仕方ないが、そこはアップデートを重ねていくしかないだろう」
「高いナーヴギア買って、一万本限定のソードアート・オンラインを購入して遊ぶ重度のネトゲ廃人に、リアルな運動神経を求めないでください。このゲームのターゲット層は機敏に動き回れません」
「で、後はマップですね。マップがよくない。ほんとによくない」
「私の世界に何か問題でも?」
「とにかく広いんですよ。街から街ヘの移動に何十分もかかるんですよ? 最初の一回移動する分には……まあかろうじて許容範囲、いやさすがに長……まあ許容範囲として、ファストトラベルがないから、この距離を何度も移動することになるんですよ。これファンタジー系のMMORPGであって、ハイキングゲームではないですからね? 移動の手間は極力省くべきです」
「他のMMORPGに倣ってオートランは実装しているが」
「これVRゲームなんで」
茅場ァ!
確かにお前の作ったSAOはすげぇよ。凄まじいまでの広い世界、生きていると言わんばかりのNPC、極めつけに死ねば本当に死ぬ仕様!
でもさぁ!人はMMO世界で生きていくためにゲームをするんじゃないんだよぉ!
と、あまりにリアルを求め過ぎていたSAOに熱心に遊んでいたβテスターの立場から茅場に意見を出し、「流石にイカンでしょ」って部分を改善させていく物語。デスゲームなんて無かった。
デスゲーム云々抜きにしてもSAOは現代基準MMOとしてはあり得ない仕様がありすぎるからなぁ…
例えばフロアボスがいい例。イベント枠でもねーのに一度倒したらリポップしませんじゃ後発の新規参入者とかどうすりゃいいんだよ…
とはいえこういう仕様については茅場が元々一度きりのデスゲーム想定で作っていた、という点を鑑みれば納得はできる。しかし当然普通にゲームを遊んでる人間からすれば噴飯ものの仕様なわけでな…
いや、この作品を読むと茅場は本当に異世界に行きたかったんだなぁということがよくわかる。
でもゲーム遊びに来た人間との温度差が違いすぎてクソクリエイターになってるけど。
原作も茅場ともっと意見を出し合う人がいればこうなっていたのか…?