想像とは違ったけどこれはこれで(挨拶
あんこ系やる夫スレ作品で、やる夫を始めとしたサバゲー同好会の部員達が集団で「培養槽」と呼ばれるファンタジー風異世界に転移する話。
ある森の中で火器を手に持って撃ち合う一団がいた。
しかし、その火器はよく見ればBB弾を発射するモデルガン。彼らいわゆるサバゲ―に興じる学生の集まりだった。
ゲームが終わってやる夫が幼馴染のホシノ(ブルーアーカイブ)と恋人でもないのにいちゃついているような甘酸っぱい関係を周りに見せ、仲間たちも慣れているのかスルーして昼飯の話をしだす連中もちらほら。
駅前でサバゲ―に参加していなかった友人たちと合流し、電車に乗り込んで移動しようとした瞬間「それ」は起こった。
突然視界にノイズが走ったような気持ち悪い感覚がほんの少しの間続いたかと思うと、同好会のメンバー全員が見知らぬ部屋の中に立っていた。
目の前には女性が一人いて、彼らを見るなり「ようこそ、新しいお客さんたち」と声を掛けてくる。
不可思議な現象に割と順応しているやる夫が女性…八雲紫の話を聞いていく。
曰くこの世界は「培養槽」と呼ばれている半径50kmほどの閉じられた世界であり、ある程度進むとドームのように覆っている壁に当たり外へ出ることはできないらしい。
また、ダンジョンと呼ばれる異空間も存在し攻略することで手に入るポイントを使って大抵のもの…どころか「若さ」などの通常ありえないものまで手に入れられるという。
そして最後に紫は「培養槽」という名前の由来について話す。この世界のシステムは戦い続けなければ死ぬが戦い続けていけば生きていられる。この世界はそうすることで何かを生み出そうとしているように思えたからだと。
こうしてやる夫達サバゲ―部員は戦わなければ生き残れない世界へと放り出されていく…
このオープニング部分とタイトルでかなりダーク目な異世界サバイバルバトルファンタジーなのかなー、と思って読み進めていたんだが…
実態はやる夫が異世界でホシノを始めとしたサバゲー部の女性、新しく培養槽で出会う女生徒大体イチャイチャしてる話である(本稿執筆時点)。
しかしシリアス成分が完全に無いのか、と言われるとそうではない。
というのも異世界転移特有のチートスキルも皆持ち合わせており、これがどうにも怪しい。
例えばやる夫の場合《愛、万能ですよ？》というなんともふざけた名称だが、やる夫の親しいものや困っている見知らぬ人に無償の愛を振りまくある意味で狂気的な性格は元の世界にいた時から変わっていない。更には前世の影響がスキルに出るものもいる。前世の咎や性格がこの世界でスキルとして顕在化しているのか？
若干不穏のようなものが見え隠れしているようなしていないような…という状況で繰り広げられる恋愛模様。素直に楽しんでいいものか…？
想像していた内容とは違ったが話の質は高いので「これはこれで…」と思いながら読みふけってしまった。それともここから急展開を見せていくのか。