彼もまた悲しい犯人の1人だった…(挨拶
ハーメルンで連載中の金田一少年の事件簿の二次創作小説で、作中で犯人の1人だった小城拓也に憑依転生した男が原作知識を活かして探偵事務所を開く話。
エリートの僕が、ネクタイを締められないだと!?馬鹿な、馬鹿な…!?
そんなことはあり得ない。 結び方だって知っているし、手順に間違いはない。だが、何故か首へとネクタイを回した瞬間に吐き気が僕を襲う。
「なんで…?」
そして僕は、そのままトイレで意識を失った。東大法学部卒業間近、官僚面接直前の出来事である。
目を覚ますと世界が変わっていた。
気絶前までは確かに存在していなかった別の人物の記憶。そして、この世界の知識。
『小城拓也』という人物がネクタイを締められない理由。
かつて自分はこの世界を漫画として読んだという事実と死んだ際に出会ってしまった転生神と名乗る存在。確かに自分は『ファンタジーは勘弁してほしい』と言った。
適度に文化的な世界であり、異能力バトルも存在しない。いわゆる普通の世界。
だが条件を満たしているにもかかわらず、この世界は死亡フラグに満ちている。
「…金田一ワールドじゃねぇか!」
ならば僕がすることは、この原作知識をどう生かすべきか。それは…!
「とりあえず、お金を稼ごう」
就活なんてクソくらえ!ていうか、就職の最有力候補潰れたし。待っているのは養父母からの失望の視線だろう。元々学歴でしか僕を判断しない人間だったし、見限られることは確定している。ならば、こちらから先手を打って切ってしまっても問題はないだろう。
「とりあえず天草四郎伝説、かな」
他にもいくつかある心当たりを頭に思い浮かべ、片っ端から当たってみようと心に決める。
「まずは情報収集からだな」
ただお宝を見つければいいだけじゃない。所有権・税金・手続きなど、調べることは山ほどある。
「さぁ、法学部の知識を生かそうじゃないか!何故なら僕はエリートだからな!」
そうして彼は、就活のショックから目を逸らすことに成功した。人はそれを、ヤケクソという。
だから、彼は気づけない。これが単なる憑依転生ではなく、前世の記憶を思い出してしまっただけだということを。『小城拓也』という今までの人生はきちんと残っているということを。
そこに抱いた想い、彼を形作った記憶は漫画のキャラクターになったという簡単なものではないということを。
そして、彼を起点にして多くの運命が変わることを。転生の際に神がかなり私情を混ぜて、この世界をかき混ぜたことを。まだ、誰も気づけないままでいるのだ。
犯人たちの事件簿では雪が降る中、風車に死体をを背負ったまま登って磔にするというとんでもないフィジカルを披露してましたねこの人…
本作ではこの小城拓也が原作知識で稼いだ金を元に探偵事務所を開き、原作で悲劇に見舞われた様々な人間を救っていく。
例えば「墓場島殺人事件」で犯人の亡霊兵士だった檜山と森下。
彼が記憶を取り戻したのは就活の時であり、時系列的にそれより前に起こった悲劇そのものは残念だがどうすることもできない。しかし彼らが罪を犯さなくても済むようにしたり、自分の探偵事務所に雇ったりしている。
というか金田一ワールドの犯人たちが罪を犯すのは大体のさばってるクズ共のせいだって。
あと血筋!事件ごとの登場人物を推理する前にDNA鑑定にかければ、半分くらいの事件はそれだけで解決するんじゃないかってぐらい親子関係や兄弟関係を隠匿しすぎなんだよ!
でも、それはこの主人公にも言える事。「小城拓也」という登場人物にも向き合わなければならない人物と事件がある。
彼女との関係が露見した時どうなるのかドッキドキだぜ!