すべては幸福な結末のために(挨拶
ハーメルンで連載中のブルーアーカイブの二次創作小説。「先生」がキヴォトスを訪れる滅びを退けようとして回帰する所謂ループもの…になるのか。
キヴォトスとは方舟であり箱庭である。少女達という希望を送り届けるための学園都市であり、神秘を観測するためのメガロポリス規模のモデルケース。
今現在のキヴォトスは地獄と化していた。アビドス高等学校は洪水に沈み、アリウス分校は地割れに飲み込まれ、ゲヘナ学園は硫黄と火に焼き尽くされた。他の学校も言わずもがな壊滅している。
「キヴォトス戦役」と名付けられたこの戦いはここまで絶望的な状況で始まったわけではなかった。
少女達には「先生」がいた。信頼を寄せている先生の言葉に呼応し、悉くの学校と生徒が無限に続く不滅の軍勢へと立ち向かい拮抗していた。
だが切欠はある取引が持ち込まれたことだ。『先生を殺害すればキヴォトスから手を引く。』
取引を持ち掛けられたのは一人の少女だったが彼女は恐怖していたのだ。この終わりのない戦いに、そしていずれ自分も傷つき昏睡した親友のようになってしまうのではないかと。
自分に銃口を向ける彼女を先生は決して責めなかった。ただキヴォトスの安全と親友を選択した彼女を尊重し、受け入れることにした。既に先生は「大人のカード」の酷使によって寿命を消費しており、先は長くなかったのだ。
先生は「黒服」から持ち掛けられた取引、すなわち「『先生の遺体』という最上位の聖遺物を用いて奇跡を起こす」
ことを受け入れたことを生徒たちに話し、猛反対されながらも一人一人を説き伏せて最後の別れを済ませ、奇跡を実行した。
しかし先生を失い、それでも日々を送っていた少女達に突き付けられたのは「お前達はいらない」という上位者の声だった。生徒たちのための先生の死は結局滅びの引き金にしかならなかったのだ。それがこの回帰の結末だった。
それでもまた世界は廻る。次こそは完膚なきまでのハッピーエンドのために。
ブルーアーカイブ本編で取り扱われている「神秘」に独自設定と独自解釈を入れてより濃く描写している作品。
キヴォトスを訪れる「滅び」の正体が全てキヴォトスそのものに予め備わっている自壊システムとなっており、これらの解体をするために先生が最後のループに挑む。
しかし、記憶を持っているのは先生だけではなく、一部の先生と関わりの深かった生徒も記憶を持っている模様。
先生LOVE勢の激重感情いいぞ~、特にミカの描写がね。美しい…これ以上の芸術品は存在しえないでしょう…
ちなみにループ自体は相当な回数をこなしているようで、記憶をもっている条件の中に「千回先生を目の前で死なせている」みたいな条件がある。先生だから耐えられた。副担任だったら耐えられなかった。
「神秘」に重きを置いてるだけあって敵として天使が降臨するオリ展開もあったりする。先生を偽りの救世主呼ばわりしてるけどキヴォトスにとっては間違いなく救世主なのでは…
アリウススクワッドもミカも記憶保持者なためエデン条約編がどういう流れになるのか楽しみ。