ウルトラマンは人間の味方だ。だが、人間がウルトラマンの味方とは限らない。
ハーメルンで連載中のウルトラマンシリーズを原作とした小説。しかし、本作はかなりダークな雰囲気の作品であることを留意していただきたい。
地球に初めて「ウルトラマン」という存在が降り立ってからかなりの年月が過ぎた。
人類はこれまで幾度となくウルトラマン達によって助けられてきた。時には、彼らと一緒に怪獣や異星人と戦い、何度も勝利を収めてきた。
しかし、25年前の戦いで彼らは敗れた。ウルトラ兄弟たちと人類、全てが力を合わせ、戦ったにもかかわらず、あの正体も分からない異星人に完敗したのだ。
そして人類は選択を迫られることになった。
このままあの異星人と最後まで戦い抜くのか、それとも傷ついたウルトラマンを彼らに引き渡し地球だけは助けてもらうか。
人類が取った選択肢は…2つ目だった。
もちろんこれは地球人全ての総意ではない。しかし、反対を振り切って人類はウルトラマンを売り渡したのだ。
光の国からやってきた他のウルトラマン達も人類が殺した。25年も経った今では、ウルトラマンは地球を侵略に来た異星人だった。そういう教育が行われてきた。
今日もまた、地球を侵略した「奴ら」に捧げる生贄が選ばれる。これは、そんな世界で生きていたある警察官のお話。
TVシリーズでウルトラマンと敵対した人間として一躍有名になったのはウルトラマンメビウスで登場した蛭川光彦だろうか。最も彼は徹頭徹尾悪役、というスタンスだったが。
「奴ら」に地球を明け渡した人類は人権もまともにない有様。作中では「女子小学生すらしょっちゅう性的犯罪に巻き込まれる」というまさしく世紀末。それでいて警察もろくに動くことができない。警備隊のGUYSは「奴ら」の要求によって真っ先に解体済み。もう9割9分詰んでいる。
だが、自分達を裏切った地球人を見捨てられないウルトラマンもいた。兄弟の中で一番年若いメビウスだ。
本作はそれでも地球人を救おうとやってきたメビウスが撃墜され、墜落した現場で巻き込まれた主人公と、メビウスが融合して最後の希望として立ち上がるところから物語が動き出す。
と、いうようによくあるクロスオーバーものとは違ってかなりシリアス&ダークなので、ウルトラマン系の作品としては読む人を選ぶかもしれない。
これから、ってところで残念ながら更新が止まっている。