ジャンルとしてはハイファンタジー系にあたる。
世界に「深界」と呼ばれる未開の地が多く、しかも深界には凶暴な生物「狂鬼」が棲息しており、人々はそれでも安全圏を広げて生活している状態。
人間・狂鬼問わず生物は「輝石」とよばれる器官を有していて、人間は何の力も持たない「濁石」と呼ばれる石と特別な力を持ち、貴族や王族等の高い地位を持っている「彩石」と呼ばれる石を持っている人間に分けられている。
主人公の「シュオウ」は濁石持ちの捨て子で、舞台となる「ムラクモ王国」のスラム街で生活していたところで異名をもつほどの凄腕の暗殺者「アマネ」と出会う。シュオウは「驚異的な動体視力」という特異な才能をアマネに見出され、彼女のもとで修業を積む。12年後、彼がムラクモ王国に戻ってきたところから物語が始まる。
小説内の心情の変化や戦闘の描写が細かいのがポイント。
主人公は当初ムラクモ王国で路銀を稼ぐために深界を踏破する、という試験を受けるのだが、鍛え上げた戦闘術と持ち前の動体視力で活躍し、なし崩し的に仕官することになってしまう。
そうして出世と引き換えに自由がなくなっていくことへの葛藤や、一緒に試験を受けた仲間や仕官先で出会う人々との関係。
戦闘においても、相手は基本的に彩石の特殊な力をもっていて、この世界において一般的には主人公は「格下」に当たる。その不利を叩きこまれた戦闘技術で覆していく姿には読んでいて高揚を感じる。
堅苦しく書いたけど一人だけ軸の違うことをやってる主人公ってカッコいいよね。書籍化されていて現在2巻まで刊行。
「小説家になろう」の中の作品でも特におすすめの一作。