滅亡の危機程度で人類が纏まれるなら苦労はしない(挨拶
小説家になろうで連載していたオリジナルファンタジー作品。なろうに投稿されているとはいえ、作者が元々掲示板に投稿していたSS形式のものに手を加えて投稿しなおしたもの。
チィーッス。勇者ですよーっと。
そんな軽快な言葉を言いながら王城に入ってきた者がいた。
勇者を名乗る彼は確かに「勇者の印」を持つ勇者その人だった。
だが王様は驚きを隠せなかった。最後に彼の顔を見た時よりもあまりにも変わり果てていたのだ。
勇者には他にも戦士・魔法使い・僧侶の3人の仲間がいたはずだが…
不思議に思った王様が尋ねると、勇者はあっさりと「全員死んだ」という。
とにかく腹が減って死にそうだ、という勇者に王様は宴の場を開いた。
そして宴の場で王様に仲間の最期を訊かれた勇者はあっさりと語りだした。
その地獄のような仲間達の最期を…
本編自体は5話しかないが、その後に連載されている僧侶の手記編で勇者の旅の全容が日記形式にて明かされる形となっている。
この作品はバリバリのリアル系ファンタジー作品で、内容はかなり陰鬱。
僧侶の手記に描かれる旅は辛いなんて言葉では言い表せない展開が続く。
村から村への移動で水と食料が足りず、どうしようもなくなって道中で魔物を狩って食べて毒に苦しんだり、たどり着いた村では勇者たちは魔物に狙われるため歓迎されない。街に入ることを断られる事すらある始末。
それでもなお旅を続け、その末に勇者以外の3人の迎えた結末は…
救いなんてほぼ無い作品だが、それでも彼らは歩いたのだ。