その者、呪いを受けし者。
非安価系やる夫スレ作品で、オリジナルファンタジーの作品。タイトル通り主人公はやらない夫となっている。
魔王と勇者がいるお馴染みのファンタジー世界が舞台。
とある村で暮らす主人公・やらない夫は、両親を幼い頃に失ってからずっと村の中で「嫌われ者」として暮らしてきた。
というのも、やらない夫は幼少期より3つの呪いに蝕まれているのが原因だ。
呪いの内容は「10文字以上喋ることができない」「表情や感情を表に出せない」「誰からも必ず嫌われる」というもの。
こんな呪いを受けていれば人格が歪んでもおかしくはないが、それでもやらない夫は優しさを失わずに生きてきた。
物語は、勇者の一人できない子(やる夫スレオリジナル)が、戦いに敗れてこの村に流れ着いたことから動き出す。
果たしてこの呪いの正体とは。
全21話という中編に近い長さでありながらかなり設定の練り込まれた作品。
勇者・魔王・呪い、そしてやらない夫の回りをとりまく人間関係をしっかり描写している。
加えてやらない夫の内心描写も面白さのポイント。
呪いのせいで満足にコミュニケーションを取ることができないやらない夫だが、内心はコミカルで誰よりも触れ合うことに飢えている。
勇者達が接触し、やらない夫の実情に触れることで、恐るべき呪いの実態が明らかになる。
2012年の古い作品で、魔王と勇者という手垢の付いた題材ではあるが、それでもなおおススメできる作品。