これまた新しい切り口の二次創作だな…(挨拶
ハーメルンで連載中の僕のヒーローアカデミアの二次創作小説で、無個性の原作知識持ちオリ主が、力ではなく政治によって国を良くしようとする話。ただし原作知識は途中までとする。
東京都鳴羽田区。
栄えた市街と廃墟同然の旧市街が入り組む、お世辞にも治安が良いとは言えないこの街は、ある有名人が活動拠点としている。
「はい、皆さんお待たせしました。早速始めましょう」
時刻は午後7時。高層マンションの一室で、黒いパーカーを着た20代の男性が動画配信の生放送を始める。
彼の名は西丸伸太郎。世界最大手の動画配信サイトにおいて登録者数500万人を超える動画配信者で、「シンタローTV」というチャンネルを運営する日本で最も名の知れたストリーマーの一人である。
「…ふぅ」
2時間にも及ぶライブ配信を終え、一息つくとイスから立ち上がり、ベランダへと出る。
東京は、深夜でも明るい。西丸はベランダから鳴羽田の街を眺めながら、愛用のパイプを咥えて一服する。
「…まだ〝推し〟の出番じゃないから暇だなぁ。どうせなら同期として転生させてくれよ、神様」
夜空を仰ぐ西丸は、そうボヤいた。
西丸伸太郎は、この世界では珍しい無個性の人間だが、ただの無個性ではない。
彼にはもう一つの人生、いわゆる前世がある。前世はごくごく普通のサラリーマンであったが、自宅の前で起きた交通事故に巻き込まれて意識を失い命を落とした。気がつくと自分は4歳児になっており、病院の診察室で無個性だと告げられた瞬間に理解した。
――ここが生前愛読していた漫画の世界だと。
現在は26歳。前世の記憶を思い出して早22年。前世の自分は「この世界」を愛読していたが、生憎最終回までチェックできてない。社会は無個性の風当たりが厳しい為、ヒーローだけでなく企業への就職をも諦め、動画配信者として生計を立てるという前世とは正反対の生き方を始めた。
ピローン♪ という音と共に、パソコンの画面にメールの受信を知らせる通知が出る。西丸はマウスを操作してメール画面を開くと…。
「民自党…? こんな時間に?」
差出人は、現在の日本の政権与党である国民自由党、略して民自党の代議士である花畑孔腔議員からだった。
僕のヒーローアカデミアの二次創作と言えば、一般的には個性を持ったオリ主が活躍するものだろう。
個性と称して他作品の能力を持ってきたりするクロスオーバー作品も、正しく二次創作の花形とも言える。
しかし、本作の主人公は無個性。無個性の主人公が無個性詐欺のように個性関係なく強かったりする作品もあるが、本作の主人公は本当に戦闘能力は皆無。
本作の主人公は、力ではなく政治で戦うのだ。
原作を読んだ方の中にはこう思った方もいるのではないだろうか。「この世界の政策ヤバすぎんか?」
公務員であるはずのヒーローを全面に押し出した政策を展開しているせいで、ヒーローが崩れれば総崩れ。
プラスしてヴィランを徹底して悪人扱いしているせいで人の中にヒーローとヴィランがあるのではなく、人とヒーローとヴィランが別の人種であるかのようになってしまっている。
実際に原作終盤はその点を突かれて社会が瓦解しているわけだし。
だが主人公はこれらの問題に政治という方向から真っ当に働きかけていく。花畑…トランペットに誘われてはいるものの解放軍には入らず無所属での出馬から始まり、やがては全国にも影響を及ぼしていく。
決してヒーローを嫌っているわけではない、されどヒーローありきで成り立つこの社会も放ってはおけない。
読んでて感心させられる今までにないタイプのヒロアカ二次創作だった。
でも、こんな存在をあの公安がほっとくわけねぇな?