ツケは、何時か必ず払わなければならない(挨拶
非安価系やる夫スレ作品で、現代の学校を舞台とした中編ほどの長さの恋愛系オリジナルストーリー。主人公…というよりは物語は翠星石(ローゼンメイデン)の視点で進められる。
私は朝が来るのが怖い。正確に言えば「明日」が来るのが怖いのだ。
ずっと布団の中で微睡んでいたい。せめて幸せな夢の中に浸っていたい。
けれど、現実はいつだって残酷だ。
ピピピ、と携帯電話のアラームが私を夢から呼び起こす。
今日も一日が始まってしまうのだとそう告げている。
起きたくない、でも起きなくてはならない。家族に心配だけはかけたくないから…
そうして私、桜田家の長女翠星石は目を覚ました。
どこまで効果があったかは分からないけど冷水を思いっきり被り、せめて気分をスッキリさせてから家族の前に顔を出した。
暖かい家族との僅かな団欒の時間が終わり、家を飛び出すと私に待っているのは紛れもない…地獄だった。
現代の学園を舞台にした「地獄」…といえば大体想像が付くだろうがこの作品の根幹には翠星石に対する「いじめ」がある。
クラスの中心人物からのいじめは翠星石を孤立させ、本人からすればまさしく地獄と形容する状況。
そしていじめは罰ゲームと称して翠星石にある「遊び」をさせてしまう。それはいわゆる「嘘告白」。ある人に対して「付き合って欲しい」などと言ってその気にさせて、後で嘘だったと告げて反応を楽しむ最低な遊び。
そのターゲットとなったのはクラスの嫌われ者、やる夫。この物語のもう1人の主人公であり、デブ・キモイ・オタと三拍子揃った問題児だ。
翠星石はやる夫に嘘の告白をして、2人は付き合い始める。最初は容姿の醜さから来る嫌悪やその気にさせたことが嘘だという罪悪感から暗い気持ちだった翠星石だが、やる夫の明るさや優しさに触れていくうちに本当に惹かれていくことになる。
しかし夢は覚めなければならない。翠星石はいつしか忘れてしまっていた。これが罰ゲームの嘘告白から始まった関係だったということを…
本作は「朝比奈若葉と○○な彼氏」というタイトルで書籍化された作品でもある。