関西弁の糸目が胡散臭い風潮はどこから始まったんだ(挨拶
ハーメルンで連載中のBLEACHとダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかのクロスオーバー小説で、元三番隊隊長・市丸ギンがオラリオに来る話だが…
いけない。そろそろ雨が来そうだ。
空を分厚い雲が覆う曇天の中、リュー・リオンはそれなりに重たい買い物袋を抱えて『豊穣の女主人』への帰り道を急いでいた。元レベル四の冒険者であり【疾風】と呼ばれた彼女が全力を出して走ればものの一分もかからない道のりだが、そんなことをしては、抱えている買い物袋が破れせっかく買った食材を駄目にしてしまう。
「あっ……」
一秒でも早く帰るために走っていたリューだが、買い物袋から柿が一つ零れ落ちる。慌てて手を伸ばそうとしたものの、生憎両手は買い物袋で塞がってしまっている。ぽとりと地面に落ちた柿は、まるで意思を持っているかのように、ころころと路地裏に向かって転がっていった。
「……どこまで転がっていったの」
精々出入り口の付近に転がっているだろうと高を括っていた彼女は、探し物が中々見当たらないことに悪態をつく。遮蔽物や死角の多い路地裏で小さな柿を探すのは面倒だった。
魔法で辺り一帯を吹き飛ばしたくなる衝動を抑えながら地面を凝視していたリューの目に、何かが映った。
「……人?」
リューは一度柿を探すことを諦め、視界の端で捉えた人影に近づく。
オラリオではあまり見ない極東の装いに、白い髪。性別は男性。腰に武器のようなものを差す。歳は私よりも少し高いくらい。背丈は一八五C程度。リューは即座に分析すると、壁にもたれかかり眠っているかのような男の心臓に耳を近づける。
生きている。となると、酔っぱらいの類か。
そう結論を下しかけたリューだが、酒の匂いがしないことで、その可能性を脳内から消す。
「……大丈夫?」
武器のようなものを持っているということで警戒しながらも、声をかけてみる。しかし、男からの反応はなかった。怪我をしているのかとも考えたリューだったが、目立った外傷も見当たらない。
うーむ、どうするべきか。どんどんと近づいてくる雨の足音に、この男をどうするべきか、リューは悩む。放置して帰れば、この男は間違いなく雨に降られるだろう。
名前も知らない男だが、見てしまった以上、放置というのも目覚めが悪い。
そして何より、シルに救われた昔の自分と、重ねてしまっていた。
とりあえず、連れて帰ろう。
男の身体を持ち上げたリューは、そこで、いつの間にか柿が転がっていたことに気付く。そうだ、私は柿を探しにここまで来たんだ。当初の目的を思い出したリューは柿を拾いポケットへ放り込むと、少しの満足感と共に豊穣の女主人へ向かった。
一般的なダンまち二次創作といえばオラリオでどこかのファミリアに入って冒険者になるのが基本の流れだと思う。
ヘスティアに拾われる、フレイヤに気に入られるなどパターンは様々だが、ともかくファミリアに入団することが前提条件みたいなものだ。
だがそこへ行くとこの市丸ギンという男、あまりにも胡散臭すぎる…!
ほんの一瞬霊圧を解放しただけでもレベル6クラスの冒険者を戦慄させるほどのプレッシャー、更にオラリオ現最強の冒険者、オッタルを歯牙にもかけない実力。流石は隊長格だぁ…
それに加えてのらりくらりとした言動をするものだから行く先々で警戒されるされる。
フレイヤにも「魂が薄気味悪い」とか言われるぐらいでそもそもギンも冒険者になる気がない。
こんな状況下で冒険者になってダンジョンを~とかいう展開になりそうもないのである意味先の読めない作品とも言える。が、それが市丸ギンらしさがあっていい感じ。
しかし。市丸ギンといえばのらりくらりとした言動の裏に目的を絶対に果たすという蛇のような執念と、目的のためなら殺人すらも厭わないという鋼の意志を持つ人物。
オラリオで神殺しは重罪だが、市丸ギンにとってそんなことはどうでもいいのだ。
あれれ~?神の中に愛染みたいなことやっとるやつおるやんけ!
本稿執筆時点で連載が始まったばかりの作品だが、フレイヤに対して「死ぬのか?死ぬのか?」みたいな感想ばっかで草ですよ…