淫夢厨である必要はありましたか…?(挨拶
ハーメルンで連載中のオリジナル現代ファンタジー小説で、社畜の主人公が暮らすアパートの押入れが何故か封印されていた妖狐のいる空間と繋がってしまったことから始まる奇妙な同居生活のお話。
俺は社畜戦士である!!今日も残業して帰宅!終わらない業務!嫌味な上司!あいつ使えねぇなと思ってそうな同僚!ぬあーん疲れたもん!頭にきますよ!
酒!飲まずにはいられない!
急に降ってきた雨のせいでスーツは皺だらけ、革靴の中はぐちゃぐちゃ。
右手にはコンビニの袋。帰ったら風呂入って、飯食って、寝て、また仕事……もう気が狂う!
死んだ魚のような目でアパートの鍵を開けると、部屋の中から、ふわりとした風が吹き抜けた。
…窓、閉め忘れたっけ?
部屋に入り確認する、窓はきっちり閉まっていた、代わりに部屋の押し入れから微かな光が漏れていた。 滑りの悪い襖を開けるとそこにはいつもの布団や雑貨の代わりに異空間が広がっていた。
畳張りのかなり…むっちゃ広い和室だ、木の柱や煤けた土壁が年季と威厳を感じさせる。
そんな部屋の奥にひとり寝そべる女性の姿。
巫女服に長い銀髪、狐のような耳、吸い込まれるように美しい銀色の瞳、実際その体は豊満であった。
「……また、幻か」女は小さく呟いた。
声は静かで、乾いていて、それでいてどこか寂しさを含んでいて、蠱惑的で、まるで絵画に描かれた場面がそのまま現実になったような、そんな神秘性をはらんでいた。
「え、えっと…あなた、誰ですか?」
そして、その日から――男と、妖狐として封印されていた狐の産婆な銀子のちょっとおかしな同居生活が始まった。
淫夢要素どこ…?ここ…?
と言いたくなるぐらいには香り付け程度に入ってくる淫夢語録だが、本作のキモは価値観江戸時代の銀子さんが現代文明に触れていく様を眺めることである。
タブレットでアニメや映画を見て驚いたり、すっかりファミコンにハマってしまって、マリオをクリアしたりドラクエをプレイしたりして現代を満喫している。ロンダルキアは拷問なんじゃよ…
一応封印されている銀子さんは最初封印場所から出ることができないので、主人公が色々買って差し入れしている。Amazonは神殿だった…?
現代にも退魔組織というものは残っているらしく、その辺の人間とも少し関わり始めることになるのだが、本筋ではないようで世界設定などは裏話という形で本編とは別のところに置かれている。
敵がいるわけでもなく世界の危機というわけでもない、ほのぼのした日常を楽しめる作品。
よく爆発が似合うけどシュワちゃんは火の神じゃないです…