ミドラーシュちゃんと一緒に暮らしたい人生だった…!(挨拶
ハーメルンで完結済みの遊戯王の二次創作小説で、遊戯王VRAINSの世界に転生したオリ主が遊戯王VRAINSでは出てこなかったカードの精霊たちと関わる話。
人々の意識がネットワーク空間内で過ごせるようになったのはいつだろうか。
技術は進歩した。人間はネットワーク空間内で仕事をし、遊んで、買い物をして、デュエルをするようになった。もちろん、現実世界でも仕事をして遊んで買い物をしてデュエルをすることが無くなったかと言うと、別にそんな事もないのだが、確実にその頻度は少なくなって来ている。
『ここから私達を出してくださ~い』
『そこのアンタ! 私達の事見えてるんでしょ!』
『……お願い……』
俺は一度こことは違う世界で死んだ。事故だった。はっきりと覚えている。だが、次の瞬間に気が付いたときには遊戯王VRAINSの世界に生まれていた。また赤ん坊からやり直しと言うのは少し堪えたが、特別家族に問題があった訳でも無かったし、大きな事件に巻き込まれたなんてことも無かった。平々凡々だけども何も不自由のない二度目の人生を16年ほど過ごしてきた。
時々人に見えないモノが見えてしまうという事を除いて。
『うっ……うぅ……』
『なんとか言いなさいよぉ……』
『………………グスン……』
大切にされたカードには精霊が宿る。
それは前の世界でもこの世界でも多くのデュエリストが何となく知っている事だ。それと同時に前の世界でもこの世界でもそんな事を完全に信じている奴なんて居ないというのは皮肉な共通点だと思う。
だが時として、特に大切にされた訳でも無く、パックから出てすぐの美品状態でショップに売られたようなカードにも精霊が宿っている事がある。俺はそいつらの事を野良精霊と呼んでいる。
泣き出した3人の涙は真珠へと形を変えてボロボロを音を立てながら落ちていく。あんまりにも泣きすぎて真珠がショーケースの中を埋め尽くしそうだ。
「……店員さん。こいつら下さい」
こうして俺はティアラメンツ・メイルゥ、ティアラメンツ・シェイレーン、ティアラメンツ・ハゥフニスのカードをそれぞれ三枚ずつ合わせて500円ポッキリで買い取ったのだった。
ちなみにこの遊戯王VRAINSの世界ではティアラメンツは人気がないらしい。現実世界は彼女たちに蹂躙されたんですけどね…
ティアラメンツというテーマは融合を軸としたテーマ。下級のモンスター達だけいても…十分強いんだが(!?)彼女たちは真価を発揮できない。そこでカードショップを巡ってティアラメンツのカードを探していくわけだが…
本作は現在3章まで執筆されており、ティアラメンツ達の世界である壱世壊を救う1章、VRAINS原作のハノイの塔事件に星遺物関係の精霊たちが関わる2章、光のイグニスことライトニングが精霊たちを利用しようとする3章の構成となっている。
遊戯王VRAINSの主人公である藤木遊作がPlaymakerとしてLINK VRAINSの事件を表立って解決していく中、本作主人公はその裏側で起きている精霊絡みの事件をひっそりと解決していく影の主人公のような立ち位置にいる。
遊戯王VRAINSはメインの登場人物関係にあまり余白がないからオリ主を差し挟むならこういう立ち位置の方がいいのかも。
一応完結扱いではあるんだが、3章のあとがきにて「何か思いついたら書くかな?」と作者様が言っておられるので4章が追加される可能性も十分ある。期待!