これはアダルトゲームですか？いいえホラーです(挨拶
ハーメルンで連載中のオリジナル現代ラブコメ…の皮を被ったホラーファンタジー…つまりは勘違いもの。主人公は知っているアダルトゲームの世界に転生した…と思い込んでいる見習い地質学者。
感動していた。鉄さびた門の先にある大きな洋館を目にしたとき、思わず声が漏れるほどに。
「や、やっぱりこれって」
彼…エイイチは確信していた。この洋館は正しく200x年に萌えゲーアワードを受賞したあの作品、「洋館住んで和姦しよ♪和洋セックちゅ♡」の舞台となる洋館だと。抜きゲーかな？
バカみたいなタイトルだったが攻略対象の4人のキャラクターはダウナー属性に偏っているが完成度が高い、イベントスチルも豊富、背景描写もBGMにも手抜かりが無くアダルトシーンはその筋の大御所が担当し感動と興奮の入り混じる内容…と中身は受賞にふさわしいものだった。
あの夢の世界に来れたのだ。エイイチは歓喜で濡れた目尻を拭いながらも緊張した面持ちで館の玄関に取り付けられているドアノッカーを4回叩いた。
これが期待通りの世界なら出迎えてくれる人物は作中唯一の元気っ子メイド、アヤセさんのはずである。
「…はい」
だが姿を現した女性はメイド服こそ着ていたものの、片目に黒髪が掛かり俯きがちで覇気がない。
「こんばんは！あの、実は山で迷ってしまいまして、その、あなたはアヤ―セ…さん？」
「…？いえ。私はアヤメと申しますが、どうして名を？」
エイイチは自分の記憶と名前が違うことに違和感を感じたが、ゲームをプレイしたのも体感で5年ほど前のことなので思い出も薄れているだろうと思うことにした。
何より、ここはアダルトゲームの世界。現実世界へと落とし込むにあたり多少の差異ぐらいは出て当然だろう。
だがここはエイイチが期待しているアダルトゲーム「 洋館住んで和姦しよ♪和洋セックちゅ♡ 」の世界などではなかった。
そのアダルトゲームに異様に酷似した設定のホラーゲーム「豺狼の宴」の世界だったのだ…
そりゃあ元のゲームを知らなきゃ分かりようがないわな。
というわけでこの作品、裏側の設定や描写自体は結構不気味だしホラゲー特有の死亡フラグも襲ってくる…のだが、主人公がこの世界をアダルトゲームの世界だと信じて疑っていない上に館に住んでいる女性全員攻略対象だと思っている超ポジティブ思考なため、全く気がついていないギャップを楽しむ勘違い系作品となっている。
というかコイツいくらなんでもポジティブすぎだろ。いくらアダルトゲームが原作だ(と思い込んでいる)からって現実でもあるこの世界で堂々と全裸徘徊とかしねーよ普通。
あとボイスチェンジャーで主人公に内線電話をかけてきた相手を瞬時に看破するなど無駄にハイスペックなところもある。全部ヒロインの攻略にベクトルが向いているだけで。
果たして全員攻略して人外ハーレムを築くことができるのか…？
ハーメルン 萌ゲーアワード受賞のアダルトゲーに転生したと喜んでたら実は設定が似通ったとある洋館ホラーゲーだった件