地獄に落ちても忘れるな(挨拶
非安価系やる夫やる夫スレ作品で、女神転生シリーズを原作としたダークな雰囲気の物語。主人公やる夫は裏社会に潜む「悪漢」を名乗るダークサマナー。
「俺」はその時に悟った――人間など簡単に死ぬ、と。
厳しい訓練に耐えてきた――外国の外人部隊での経験も積んだ。自分が築き上げてきた「強さ」に確信もあった――だというのに。
その「理不尽」は、全てを嘲笑うように踏み躙った。
自衛官の「同僚」が紙切れのように引き千切られていく。例え過信であろうと、共に在ればどんな「敵」さえ粉砕すると信じていた。だが、「理不尽」の前ではそんな夢想も赦されない――ただ、打ち砕かれた。
「――悪魔め……!」
「俺」は全てを呪うように吐き捨てた――不思議と、死のうとは思わなかった。
相手が「理不尽」だからこそ、敗北を認めても命を投げ捨てられなかった。
ただ殺すため、殺されないために効きもしない銃を手に取った。
――そんな「俺」を見て「理不尽」が笑った。
今でも忘れられない――楽しくて楽しくてたまらない、そんな子供のような笑み。
「悪魔、悪魔か…!この俺を化け物ではなく悪魔と呼ぶか!」
「ならば、お前はなんだ?ニンゲンか?狗か?――答えろ」
――その問いかけへの答えは、一つしかなかった。
「『俺』は――――『俺』だ」
—これは英雄の物語ではない。ただ、理不尽な「悪」を打ち砕く「悪漢」の物語である。
この作品でいう悪漢というのはピカレスク小説から取られたダークヒーロー的な意味合いのもの。
主人公のやる夫は裏社会で「組織」から仕事を貰って相手を始末するダークサマナー。
一応この組織…「暴君(レックス)」というやる夫のいる街のサマナーを纏めている組織なのだが、ヤタガラスと休戦、ファントムソサエティとは敵対しているあたり邪悪な組織なのかそうではないのか…
本作のポイントはやはり主人公が「悪漢」であることだろう。
法を犯し、悪魔達と生きるダークサマナーではあるが、筋の入った悪というのか外道ではない。
むしろ悪を狩る悪とでもいうべきか、冒頭でも述べたダークヒーローの生き方だ。
また、この作品は群像劇であり「悪漢」だけでなく「悪徳」「間抜け」「将軍」など、様々な人物の視点で描かれる。1つの事件に対しての複数の人物の考え方や介入度合いが見えるのがいいよね…
これも10年以上昔の作品か…残念ながら未完結なんだよな…