非安価系やる夫スレ作品で、騎士道に生きる者達を描くオリジナルの中世ファンタジー作品。主人公はある事から生きる目的を見失い気味の騎士・やる夫。
仕えた主君のために命を懸けて戦う者は?御伽話の中でお姫様に仕え、守る者は?
多くの人は質問に「騎士」と答えるだろう。けれど実際のところ、そういった「騎士らしい」ことをしないまま終わる…そんな騎士は世の中にたくさんいる。
この物語の主人公も、そんな風に考えているが、人生というものはどう転ぶかわからない…
ネトワロス国の騎士であるニューソクデ・やる夫の朝は遅い。7時に起きてもうひと眠りするか…なんて二度寝しようとしたところで同僚のヴィップデ・やらない夫にたたき起こされた。
7時起床が義務付けられているとはいえ警備交代の時間までは自己鍛錬。別に寝てても構わないだろう、というやる夫にやらない夫は「自己鍛錬も立派な騎士の義務だ」とたしなめた。
やる夫は元孤児だ。騎士は本来貴族階級の者か高い戦闘能力を有した者が就く地位であり、身元不明の孤児で特別な戦闘力を持たないやる夫には本来縁がない話。
だが前団長の古泉一樹(涼宮ハルヒの憂鬱)が、何を思ったのか城下の貧民街からやる夫を拾ってきたのだ。
彼の姿無き今も、やる夫は団長が連れてきた人間、というだけで騎士団へと在籍していた。
古泉が死んでもう3年にもなるが、やる夫は未だに騎士としての生活に答えを出せずにいる。
しかし、そんなやる夫に転機が訪れた。
隣国ミスティアからネトワロスに来ていた姫をミスティアまで護衛する、という任務がやる夫とやらない夫に回ってきたのだ…
もうこの作品が始まってから15年も経つのか…
作者さんの前作である「やる夫が妹たちのために頑張るようです」が面白い作品だったので期待を胸に読み始めた作品だったが、登場人物の心情に対するAAの使い方や話の読みやすさなど、これまた大当たりの面白さだった。
古泉のお節介で騎士になれたやる夫は、古泉に騎士として認めてもらいたくて本気で騎士の訓練を頑張ろうとしていた。その矢先に古泉が死んだものだから定めていたゴールを見失って、一種の燃え尽き症候群のような状態になってしまっているんだろうな…
護衛の旅を通して自分を見つめなおしていくやる夫。しかし徐々に見えてくる護衛の裏側にあった大きな陰謀。
この陰謀には事故だったハズの古泉の死も関わっていて…?
「騎士」として己がすべきことは何か。